土壌汚染地の評価額 ①

posted by 2022.08.8

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 土地を売る場合は長所を探してアピールしますが、相続税や贈与税の計算をするために土地を評価する場合はその逆で短所を探してアピールします。

 例えば奥まっている、形が悪い、道が細い、大きすぎる、文化財が乗っているなどの理由で価値が下がったりしますが、具体的な計算方法は財産評価基本通達に定められています。

 

 化学工場やガソリンスタンドとしてかつて使われていた土地等に関しては、土壌汚染が残っているケースがあります。
土壌汚染地の評価方法については財産評価基本通達に記述はありませんが、次の方法により評価することとされています。

「汚染がないものとした場合の評価額-浄化・改善費用相当額-使用収益制限による減価相当額-心理的要因による減価相当額」

 

① 浄化・改善費用相当額

 有害物質の除去や封じ込め等の措置費用を言います。
費用の算定には高度な専門性が要求されるため、環境大臣が指定する指定調査機関に見積もりを依頼することになります。
見積りを取る際には複数の期間に依頼して平均を取ればより合理的な金額となります。
なお見積額をそのまま控除するわけではなく、その80%の金額で控除します。これは土地の評価自体が時価の80%を目安としているためです。

 

② 使用収益制限による減価相当額

 ①により有害物質を完全の除去できる場合はいいですが、地中の構築物などで封じ込めをする場合は土地の利用に制限が残る場合があります。
制限によりどの程度利用価値が下がるかという計算は難しい部分はありますが、調査機関等の意見も参考にしつつ、個別に検討することになります。

 

③ 心理的要因による減価相当額

 ②よりさらに難しいのが心理的な嫌悪感による減価の算定です。
数値化自体が難しく取引事例も少ないですが、除去措置の状況や期間の経過などを考慮して個別に検討することになります。

 

 理論上価値が下がっていることは明らかですが、評価自体の難易度は高いだけに当局と納税者との間で争いになることも多いです。
最近納税者が勝った事例があるので次回見ていきます。