海外ITの本店登記

posted by 2022.07.27

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 海外ITが日本で本店登記をしていないことが問題となっていましたが、グーグル、メタ(Facebook)、Twitter、マイクロソフトなどの大手は7月22日の期限までに登記の要請に応じたようです。

 

 会社法では、外国法人が日本で継続的にビジネスをする場合に日本での本店登記を義務付けています。
これまで何の登記もなかったわけではなく、マーケティングなどを行う日本法人は登記されていましたが、サービスをメインで提供する本社の登記まではされていませんでした。

 登記がないことで何が問題になるかというと、1つは裁判がやりにくいという点があります。
SNS上でのトラブルやフェイクニュースなどの問題があっても海外の本社とのやり取りが必要で迅速に対応できないことが問題となっていましたが、本店登記をしたことで裁判や行政指導の当事者として捉えやすくなります。

 

 海外ITの中には日本で本店登記をした途端に多額の法人税を取られる、と警戒する動きもあったようですが、今回の登記に関して税金計算上はそこまで杓子定規に考えないようです。
日本の法人税「恒久的施設(PE)」が国内にあれば外国企業にも課税できる仕組みになっているので、本店登記があるかどうかだけをもって判断するわけではなく総合的に判断しています。
したがってたとえ本店登記がなくても、PEがあれば法人税を課税することは従来から可能です。

 

 今回の海外ITへの登記要請は48社に対して行われ、多くは応じる意思を示していますが、無視あるいは拒否している14社には100万円以下の過料(罰金)が課されるようです。
消費者保護という意味では一歩前進といったところでしょうか。