国際的な取引の増加や関係者が海外に住んでいることにより海外送金をするケースが増えています。
非居住者や外国法人の所得は把握が難しいため、出所で仮に課税しておこうという考え方から、非居住者等に国内源泉所得の支払いをする場合は源泉徴収をする必要があります。
1.定義
① 非居住者
居住者以外の個人。
居住者とは国内に住所を有し、又は現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を言います。
なお外国法人は国内に本店又は主たる事務所を有しない法人を言います。
② 国内源泉所得
日本国内に発生原因がある次のような所得を言います。
・国内にある資産の貸付けや売却(貸付け 20.42%、売却 10.21% )
・芸能人や士業など国内でサービス提供されるもの( 20.42% )
・国債社債の利子、預貯金の利子( 15.315% )、内国法人の配当(上場 15.315%、非上場 20.42% )
・特許権や著作権の使用料( 20.42% )
・給与、退職金、年金( 20.42% )等
()内は源泉徴収の税率ですが、租税条約により軽減されるケースがあります。
2.納付
支払月の翌月10日まで納付する必要があります。
納付書は国内用とは別で「非」に〇がついたものを使います。
小規模事業者で納期の特例を申請していれば、給与については1月と7月の2回にすることができますが、特許権使用料や国内資産の貸付け売却などについては毎月納付のみです。
3.源泉徴収が漏れやすい取引き
経費を支払う場合は源泉徴収を意識しますが、不動産を購入する場合は漏れやすいので要注意です。
売主が非居住者で、国内の資産を購入する場合は10.21%の源泉徴収が必要になります。
口頭で居住者であることを確認していたのに実際には非居住者であったケースで、注意義務を尽くしていないとして罰金を取られている判例もあります。
罰金は不納付加算税で10%ですが、売買は取引額が大きいだけに罰金も大きくなる傾向があります。
正当な理由があれば不納付加算税は免除されますが、”正当な理由”というのも曖昧ですし、非居住者等であることを確認しきれないこともあるので、取扱いを緩和する税制改正も要望されているようです。