書類の保存期間

posted by 2021.08.20

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 帳簿や書類の保存期間についてよく聞かれます。

 保存形態としてはマイクロフィルムや電子データもありますが、ここでは中小企業で一般的な書類を前提に法律的な原則を確認します。

 

① 会社法 

「株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。」(第432条2項)

 

② 法人税法

「青色申告法人は、帳簿書類を整理し、起算日から7年間、これを納税地に保存しなければならない。」(施行規則第59条1項)

 起算日というのは申告期限の翌日を指しているので、原則として「決算期+2か月+7年」でカウントします。、
なお『欠損金の繰越控除』の規定を適用する場合は、最大で10年間帳簿書類を保存することが適用要件となります。

 

③ 所得税

「青色申告者は、帳簿及び書類を整理し、起算日から7年間(取引に関して相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写しのうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあっては、5年間)、これをその者の住所地若しくは居所地又はその営む事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。」(施行規則第63条1項)

 かっこ書きの5年間のところが分かりづらいので補足すると、請求書、領収書、契約書などは現預金絡みなら原則通り7年、現預金でなければ5年で法人税より少し短くなっています。

 

④ 消費税法

「事業者は、帳簿及び請求書等を整理し、当該帳簿についてはその閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日、当該請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地等に保存しなければならない。」(施行令第50条1項)
 
 所得税では5年もありますが、消費税の課税事業者であれば消費税の7年が優先します。

 

 結局何年保存すればいいかと言うと、法律上は一番長い10年という答えになりますが、それはそれでものすごいボリュームになります。
実務上は調査が終わっていれば3年とか、せめて更正期間(税務署が指摘できる期間)の5年などと答えたりしています。

 なお、法的な保存期間を過ぎていても、決算書やもしかしたら見返すかも知れない総勘定元帳も会社の歴史の記録として残しているケースもあります。