課税売上割合に準ずる割合の改正

posted by 2021.08.17

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 消費税の『課税売上割合に準する割合』の適用に関して、令和3年度税制改正で手続きが緩和されています。

 

1.課税売上割合に準ずる割合とは

 消費税は受け取った金額から支払った金額を控除して計算しますが、控除できるのは原則として課税売上げに対応する部分だけです。
課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れに関しては、課税売上割合を掛けて控除する金額を計算します。

 この課税売上割合は、突発的に非課税売上げ(土地の売却など)が発生した場合には下がってしまい、支払う消費税が増えます。
そこで特殊要因を取り除いた『課税売上割合に準ずる割合』を使って控除税額を計算する特例が設けられています。

 

2.改正内容

<従来>

・税務署長の承認を受けた課税期間から

・例えば3月決算で、3月に急に土地の売却が決まり、3月30日に特例を申請しても承認が間に合わず、特例が受けられませんでした。

<改正>

・決算期末から1か月以内に承認されれば適用可能に。

・令和3年4月1日以後に終了する課税期間から(4月決算以後)

<留意点>

・決算期末までの提出が要件で、申告期限(2か月以内)ではありません。

 

3.課税売上割合に準ずる割合の詳細

<適用範囲>

・個別対応方式にだけ認められている制度で、一括比例配分方式には適用がありません。

<算定方法>

・原則:使用人の数、従事日数、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積など合理的な割合

・例外:たまたま土地の売却があった場合には、過去3年または前課税期間の課税売上割合のうち低い方を使うことができます(過去3年の変動が5%以内で事業実態に変化がない前提)。

 

 課税売上割合に準ずる割合に関しては、使えることに気づかずにスルーしていることもあるので、個別対応方式を採用している企業で、土地の売却などがあった場合には決算期内に検討して申請するようにしましょう。