前回に続いて利子税のうち法人税に関する部分を見ていきます。
相続税の場合、払えないので延納で分割する場合の利子という話でしたが、法人税の場合はそうではなく期限に間に合わないので納付期限を延ばすという話です。
<申告期限の延長>
法人税の申告期限は原則として決算から2か月以内で、3月決算法人であれば5月末が申告期限であり、納付期限となります。
一方会社法には、基準日(通常は事業年度末日)における株主は3か月以内であれば権利行使できるという規定があります。
例えば3月決算であれば、3月31日に株を持っていれば配当をもらえたり、株主総会に参加できたりするわけですが、その権利の有効期間は3か月以内となっています。
そのため、定款では「定時株主総会は事業年度末日から3か月以内に召集する」と定めている会社が多く、上場会社の株主総会も6月下旬に集中しています。
会社法では3か月なのに法人税が2か月だと申告期限を過ぎてしまうので、法人税には「申告期限の延長」という制度があります。
定款に定めている、監査を受ける必要があるなどの理由により、2か月以内に提出できない常況にあるときは、1か月期限を延長することができます。
さらに上場企業の子会社である場合や連結決算をする場合などは2か月の延長が可能です。
<延長の手続き>
延長の申請は1回出せば有効で、事業年度末日までに出す必要があります。
事業年度末日を過ぎて決算の作業中に「2か月以内が間に合わないから今から延ばそう」というのはできません。
<納付期限と利子税>
申告期限を延長すると納付期限も同時に延長されます。
ただし、法人税の申告納付期限はあくまで2か月以内が原則なので、延長した期間には利息がかかります。これが法人税の利子税です。
通常は利子税がもったいないので、2か月の段階で「見込納付」をします。
最終的に税額が変われば差額を3か月以内の申告の段階で調整します。
<利子税の税率>
原則は7.3%ですが、金利の実情に応じて令和3年は1.0%に軽減されています。
<法人税以外の税目>
法人税と連動する法人市県民税や事業税も同様に申請すれば延長は可能です。
消費税には延長の規定はありませんでしたが、令和2年度改正で可能になりました。令和3年3月31日以後終了事業年度から適用がありますが、3月31日までに申請しておく必要があります。
なお、コロナによる申告期限延長の制度もありますが、これは事情が事情なので延長しても利子税はかかりません。