税金の支払いが遅れると延滞税がかかりますが、それとは別で「利子税」というものもあります。
・延滞税:納付期限が過ぎた場合にかかる罰金
・利子税:正式な手続きを経た上で期限を超えて払った場合にかかる利息
違いとしては利子税の方が税率が低く、支払った場合も経費になるという点があります。
利子税が関係してくる主な税金としては相続税と法人税があります。
1.相続税
<概要>
相続税を期限までに払えない場合の手続きとしては物納と延納があります。
物納はその名の通り”モノ”で直接払う方法で、不動産、国債、美術品などが対象です。
延納は分割払いのことで資産の内容に応じて最長20年の分割にすることができます。
分割払いで待ってもらうことでかかる利息が利子税です。
<税率>
相続財産に占める不動産の割合によって10種類に分かれています。
現金化しにくい不動産が多いほど支払いが困難であろうということで不動産の割合が高いほど利子税の税率は低くなります。
例:不動産の割合が75%以上の場合(令和3年)
・動産部分 :最長10年 税率 原則 5.4%⇒特例 0.7%
・不動産部分:最長20年 税率 原則 3.6%⇒特例 0.4%
・立木部分 :最長20年 税率 原則 1.2%⇒特例 0.1%
原則が高すぎるので実際の金利に合わせて再計算したのが特例です。
・算式:原則割合 × 利子税特例基準割合 ÷ 7.3%(0.1%未満切捨て)
・利子税特例基準割合:国内銀行の前々年9月~前年8月の平均貸出金利+0.5%
・改正:算式の「+0.5%」は令和3年から。令和2年までは「+1.0%」
<延納の要件>
・相続税額が10万円超
・現金納付を困難とする事由がある。
・「延納税額+期間中の利子税」に相当する担保を提供
・相続税の申告期限までに延納も申請
相続税が払えない場合に、不動産などを売るケースが多いですが、利子税が改正でかなり下がり銀行で借りるよりも低いぐらいなので延納も選択肢として考えられます。
法人税関係の利子税については次回へ続きます。