路線価の減額補正

posted by 2021.01.27

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 コロナの影響で地価が下落していることから、路線価の減額補正が認められることとなりました。
減額補正は全国一律ではなく、今回はコロナによるインバウンドの減少で打撃を受けた大阪ミナミの一部が対象です。
過去に災害を理由としたものはありましたが、景気変動を理由に認められるのは初めてです。

 

<必要性>
 土地を相続または贈与した場合の評価額は、毎年1月1日時点の路線価で計算します。
1年に1回の発表なので、急激な価格変動があった場合には実態を表すことができません。
そこで時価に近づけるための調整率が公表されています。

 

<基準>
・15%以上の地価下落

 

<対象期間と地域>
・2020年1月~6月:該当なし
・2020年7月~9月:大阪市中央区心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目
・2020年10~12月:愛知県名古屋市中区錦3丁目、大阪市中央区千日前1及び2丁目、道頓堀2丁目、難波1及び3丁目、難波千日前、日本橋1及び2丁目、南船場3丁目

 

<補正率>
・7~9月の大阪市中央区心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目:0.96
・10~12月の該当地域は4月に発表予定

 

<計算方法>
・路線価100万円×地価変動補正率(今回は0.96)×その他の補正率

 

<申告期限>
 相続税の申告期限は亡くなってから10か月以内、贈与税の申告期限は翌年の3月15日です。
7月1日に亡くなった場合の相続税の申告期限は5月1日なので間に合いますし、7月1日に贈与した場合の贈与税の申告期限は3月15日なので間に合います。
ところが10~12月の補正率は4月に発表されるので、贈与税の申告期限である3月15日を過ぎてしまいます。
そこで10~12月に対象地域の土地を贈与した場合には、補正率公表日から2か月後の日を期限とする特例が認められます。
また補正率公表前に申告して、結果的に払い過ぎになってしまった場合は「更正の請求」により還付を受けることができます。

 

 今回の補正率は▲4%で、感覚的にはもっと下げて欲しいところですが、路線価自体が元々時価より2割低く計算されているので、補正率による減額幅はあまり大きくはなっていません。
実態がもっと下がっている場合は鑑定評価などを検討した方がいいかも知れません。