法人の調査事績

posted by 2019.11.12

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 国税庁から平成30事務年度(平成30年7月~令和元年6月)の法人の調査事績が発表されていました。
国税庁は「7月~6月」を区切りとしているので、調査事績もこの期間で集計され、人事異動も7月に行われます。

 

<概要>

・申告漏れ総額 1兆3813億円(前年比38%増)

・1件当たり漏れ  1396万円(前年比36%増)

・海外関連     6968億円(前年比90%増)

・申告漏れ割合   75%(74千社/99千社、前年並)

・追徴税額     1943億円(前年並)

・1件当たり追徴税額 196万円(前年並)

 

<傾向>

・海外関連及び申告漏れ総額を引き上げているものとして、ソフトバンクの資本取引に関するものが4200億円あると考えられ、それを除くと全体としては大きな変動はありません。

・約75%で何らかの申告漏れがあるということは、何もない申告是認の割合は25%ということになります。 

・申告漏れに対する追徴税額の割合が約14%に留まるのは、繰越欠損金が減っただけで税額が発生していないものがあると考えられます。

・国税庁が重点的に調査している項目として、海外関連、無申告、消費税の不正還付があります。海外関連については、国外送金等調書やCRS(各国の税務当局と金融口座情報を交換する制度)により、情報を集めて調査に活用しています。

 

<脱税ワースト5>

 不正の多い業種が添付資料にあったので紹介しておきます。割合は不正発見割合で金額は1件当たり不正金額です。

① バー・クラブ   70.3% 1628万円
② 外国料理     46.7%  774万円
③ 大衆酒場、小料理 46.3%  798万円
④ その他飲食    42.7% 1069万円
⑤ 自動車修理    29.2%  440万円

 売上を抜きやすい一般消費者相手の現金商売が多くなっています。
上位の顔ぶれは毎年あまり変わらず、この他では土木工事やパチンコが上位の常連です。

 

 脱税や無申告は論外として、海外関連は今後も重点的に調査されますので、ミスのないよう気をつけましょう。