前回、海外事業者が提供するネット上のサービスを「事業者向け」と「消費者向け」に分けましたが、今回はその続きで「事業者向け」サービスの消費税の取扱いを確認します。
以前は、消費税が課税かどうかをサービス提供事業者の所在地で判定していました。
サービスは目の前にいる人に提供するものなので、従来はそれで区分できたのですがネット上のサービスは世界のどこからでも提供できます。
するとサービス提供事業者がどこにあるかによって消費税が変わり、取引条件に差が出てきます。
例えばネットショッピングのサイト運営の場合、楽天であれば国内取引で消費税は課税、アマゾンであれば国外取引で消費税は不課税となります。
そこで平成27年に改正があり、サービスを受ける側の所在地で判定することとなりました。
そうなると楽天でもアマゾンでも取引条件が同じになり、アマゾンも日本で消費税を納税することになります(リバースチャージ方式)。
実際に費用を支払った場合の仕訳は次のようになります。
(支払手数料)1000(普通預金等)1000
(仮払消費税) 100(仮受消費税) 100
消費税は両建てになるので実際に納付する消費税に変化はありません。
ただし、煩雑になるのと実際の納付額に影響がないことから、課税売上割合が95%以上の場合や簡易課税の場合は、この仕訳ではなく従来通り不課税処理ということになっています。
(支払手数料)1100(普通預金等)1100
ところが、請求書が”消費税あり”で届くので消費税を課税として処理してしまう間違いが多く、税務調査でも指摘されているようです。
普通に商売をしていれば課税売上割合は95%以上であることが多いので、サービス提供事業者が国内なのか海外なのかという判定に気をつけて処理するようにしましょう。