ストラディバリウスは償却できるのか?

posted by 2019.06.7

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 昨日カレー屋さんの申告漏れがニュースになっていました。
創業者が音楽ホールの運営などを行なっていた資産管理会社でストラディバリウスやグァルネリなどの高価な楽器を減価償却していて20億円の申告漏れを指摘された、というニュースです。
しかも2016年の1年だけの金額です。

 

 楽器の耐用年数はパイプオルガンの41年を除くとすべて5年です。
そして中古資産である場合は、耐用年数を経過していれば、法定耐用年数の2割になります。
5年以上経過した楽器であれば、5年×2割=1年、最短が2年なので2年になって2年の償却率は定率法の場合は1.000、つまり購入した年に全額減価償却が可能になります(月割りはあります)。

 ただし、絵画、彫刻等の美術品や工芸品で歴史的価値又は希少価値を有し代替性のないものは、時の経過により価値が減少しないとして減価償却ができないとされています。
またこの基準は曖昧な部分もあるため、形式基準もあり、1点100万円以上の場合は原則減価償却ができません

 

 今回の場合は、演奏家に無償貸与するなど実際に使っていたため、減価償却できるという判断で申告したようです。
このあたりの判断が難しいところで、2000万円以上のフェラーリが実際に使われていること理由に減価償却を認められた例もあります(運行記録が詳細に残っている、業務に使われていることなどが前提)。
絵画や壺などの美術品はまだ判断しやすいですが、楽器や車など実際に使うものは、どこからが工芸品なのかという判断が悩ましいところです。

 ストラディバリウスなどのクラスになると使っても価値が減るどころかさらに上がっていくし、金額が大き過ぎることが調査で指摘された要因かも知れません。

 私財を投じてホールを作って、楽器を無償貸与して演奏家を応援してるのにこんな目に遭うのはちょっと酷な気もします。