東京・大阪・愛知の3都府県以外でも億ションの建築が増えていますが、利便性や資産性だけでなく、相続税節税のために買う動きもあるようです。
いわゆる「タワマン節税」ですが、節税効果が大きいことから国税庁は長年問題として捉えてきました。
2022年4月の最高裁判決では、13億円で買ったマンションを相続人が3.3億円で相続税評価していましたが、租税負担の公平に反するとして12.7億円という国税当局の評価が認容されることとなりました。
タワーマンションも今や全国に1400棟以上あり、影響が大きいことから、来年2024年1月1日からの適用を目指して通達の改正作業が進められています。
有識者会議の事例で改正による影響を見ていきます。
<事例>
・東京都内、築9年、43階建てマンションの23階
・実勢価格1億1900万円
・相続人は子1人
<現行の相続税>
・土地:路線価評価(敷地面積を戸数で割るので高層で戸数が多いほど土地は小さい)
・建物:固定資産税評価
・評価額:3720万円(実勢価格との乖離率は約3.2倍)
・相続税:(3720万円-基礎控除3600万円)×10%=12万円
<改正案>
・評価額:3720万円×乖離率3.2倍×0.6※≒7140万円
・相続税:(7140万円-基礎控除3600万円)×20%-200万円=508万円 ≪+496万円≫
※0.6%の根拠
・20階以上のマンション評価の乖離率…平均3.16倍
戸建て住宅の乖離率…平均1.66倍
3.16×0.6=1.89で戸建てになるべく近づけるという発想
・乖離率については1.67倍以上なら評価引き上げ
戸建て住宅や低層マンションでも実勢価格と相続税評価額は乖離しますが、1.66倍までは評価の安全性の観点からも許容するという考え方なので節税効果がなくなるわけではありません。
実務上の課題としては”実勢価格”をどう出すかという点があります。
鑑定評価を取るとなると費用がかかりますし、不動産業者の時価を出すと言っても幅があって使いにくい面もあります。
購入時期が近い場合は購入額が時価に近いという考え方もありますが、具体的な評価方法はこれから出てくるので引き続き注目していきたいと思います。