内装の経理処理 ③耐用年数

posted by 2017.06.12

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 前回の続きで内装の経理処理について見ていきます。

 

3.耐用年数は何年か

 建物附属設備の耐用年数は3年から18年の幅があり、償却費も大きく変わります。
耐用年数は「耐用年数表」に定められていますが、種類が少なく実務上どれに当てはめるか悩ましいところです。

 

① 電気設備(照明設備を含む):蓄電池6年、その他15年
② 給排水、衛生、ガス設備  :15年
③ 冷暖房、通風、ボイラー設備:出力22kw以下13年、その他15年
④ 昇降機設備:エスカレーター15年、エレベーター17年
⑤ 消化、排煙、災害報知設備、格納式避難設備:8年
⑥ エアーカーテン、ドア自動開閉設備:12年
⑦ アーケード、日よけ:金属製15年、その他8年
⑧ 店用簡易設備:3年
⑨ 可動間仕切り:簡易なもの3年、その他15年
⑩ 前掲以外  :金属製18年、その他10年

 

 工事の明細や見積書を見ながら項目別に集計して耐用年数を当てはめていきます。
よく出てくるのは①②③で15年が多いので、償却費を事前に概算で計算する場合は15年が使われることが多いです。

 

 耐用年数表には肝心の「内装」という区分はありません
内装は自社物件の場合と賃貸物件の場合とで分けて考えます。

 

<自社物件>

 ①から⑨にはっきり当てはまるものを除いて「建物」の耐用年数で償却します。
具体的には建具、畳、ドア、シャッター、ショーウィンドー、ユニットバスなどが該当します。
建物の耐用年数は住宅用の場合で木造22年、鉄筋34年、鉄骨鉄筋コンクリート47年など建物附属設備より長くなります。
建物になるのは新築時だけでなく、あとで工事をする場合も同じです。

 

<賃貸物件>

 ①から⑨にはっきり当てはまるものを除いて「合理的」に見積もります。何とも抽象的な表現です。
通達に定められているのは、内装を材質などで分離してそれぞれを建物や器具備品の耐用年数に当てはめてその平均年数を算定する方法です。
ただこの方法もかなり手間がかかるので建物附属設備の最後の項目「前掲以外」を使うことも多いです。
主として金属製で18年、その他のもので10年
実際の使用状況や内装の更新期間を考慮すると合理的に見積もっても近い数字になると考えられます。

 

 内装に関して3回に分けて解説しましたが、減価償却の世界は本が何冊も書けるぐらい奥深いので個別テーマでまた取り上げていきます。