商品が売れ残ると在庫としてカウントされますが、定価で売れない不良在庫になってしまうことがあります。
実態より在庫が高く計上されるということは決算書の利益が大きく見えることになり経営上健全ではありません。
そこで在庫の評価損を検討することがありますが、法人税法上は評価損を厳格に考えます。
というのも在庫評価損を増やせば利益を簡単に減らすことができて法人税を圧縮できるためです。
法人税法上、在庫の評価損を計上できるのは次の場合に限られます。
<強制評価損>
・災害等で著しく損傷または品質が劣化(災害に限らず破損、型崩れ、棚ざらし等による品質悪化を含む)
・著しい陳腐化
①季節商品の売れ残り(例:服など季節性や流行があるもの)
②モデルチェンジ(型式、性能、品質等が著しく異なる新製品の発売)
※単なる物価変動、作り過ぎ、売値の変更では評価損は計上できません。
<低価法を選択している場合>
・仕入額>正味売却価額(販売価格-販売手数料)の場合、つまり売値が仕入値を下回っていれば評価損を計上できます。
・低価法を選択しているのが前提なので届出を確認する必要があります。
特に届出をしていなければ法定で原価法になっています。
原価法から低価法に変更する場合は翌期からになります。
評価損を検討することは経営上健全なことですが、法人税法上経費(損金)になるかどうか届出や強制評価損の要件をまず確認しましょう。