空き家譲渡の注意点

posted by 2016.09.29

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 前回は空き家を売却した場合の3000万円控除の概要を見ていきましたが、今回は注意点や他規定との関係を見ていきます。

 

(1)共有で相続した場合

 空き家とその敷地を兄弟等が共有で相続した場合には、共有者それぞれが空き家と敷地の両方を取得したことになり、共有者1人につき3000万円の控除が受けられます。つまり売ることを想定している場合は遺産分割の段階で共有にしておけば控除額を倍にできます。
なお譲渡対価が1億円以下であるかの判定は、共有者ごとの持分に応じた金額ではなく、全体の譲渡対価で行います。

 

(2)重複適用できないもの

・相続税の取得費加算

売却時に払った相続税の一部を取得費として控除できる規定です。

 

(3)重複適用できるもの

・家なき子の小規模宅地等の特例

持ち家のない別居親族が、被相続人が一人暮らししていた自宅を相続した場合に敷地の評価を80%減額(上限330㎡)できます。
ただし小規模宅地等の特例は申告期限まで所有していることが条件の1つなので売却する場合は亡くなってから10ヶ月経過以後にする必要があります。

・居住用の3000万円特別控除

同じ年に自分の住んでいる自宅を売った場合の3000万円控除と重複適用できますが、合わせて3000万円が上限になります。

・居住用財産の買換え特例

自宅を買い替えた場合に今回は売却益がなかったものとして次回売却まで繰り延べます。

・居住用財産の軽減税率

長期譲渡の税率が20.315%から14.21%に軽減されます。

・居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

自宅を売って損した場合に給与所得などと通算したり、使い切れない損失を翌年以後3年繰り越すことができます。

 

 税金が軽減される措置法の規定は重複適用できないことが多いのですが空き家の譲渡に関しては重複適用が広く認められています。
各規定の要件を確認してできるだけ税負担を抑えましょう。