給料全額返上します

posted by 2016.06.15

syazai_kaiken

 連日マスコミを賑わす某都知事ですが、給料全額返上なんて話も出ています。
知事の場合は給料返上は条例改正で行なうようですが一般企業の場合はどうなるのでしょうか。

 不祥事を起こした上場企業で社長は半年間50%減給、役員は30%減給、担当部長は10%減給処分なんてニュースがあったりします。
従業員である部長はいいとして役員の場合は定期同額給与の規定に引っ掛かります。

 

 定期同額給与とは次のようなルールです。

① 毎月役員報酬が同額で改定するなら期首から3ヶ月以内
② 期中で改定すると定額でないはみ出る部分は経費にならない
③ 期中変更が認められるのは地位や職務の大幅な変更と著しい業績悪化

 例えば12月決算の法人で100万円もらっている役員の報酬を不祥事で7月から40万円に下げたとします。

① 半年経ってからの改定なので期首から3ヶ月以内に該当しません。
② 下がった40万円を基準にするとはみ出る60万円×6ヶ月の360万円が経費になりません。
③ 不祥事というのは改定事由としては認められません。

 

 実際に返上があった場合には役員報酬としては全額払った上で会社が寄附を受けたような形になり「雑収入」として計上されることになります。
上場企業の不祥事の場合は税金の扱いどうこうではなく株主の手前とにかく返上するしかないというケースもあるでしょう。
非上場企業の場合は税金を多く払ってまでということはせず、給料はそのままで単に支払を止めて未払で置いておく、というような処分が行われることもあります。
こうなるといずれもらえるので”返上”とは言えないかも知れませんが…。

 あっては困りますが不祥事等で役員報酬を返上する場合は処理の仕方に気をつけましょう。