持株会社の作り方

posted by 2016.06.14

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 持株会社シリーズ最終回としてその作り方を見ていきます。
大きく分けて①買い取り方式、②株式移転(交換)の2つの方法があります。

 

① 買い取り方式

 後継者が新たに会社を設立して既存株主から全株式を買い集める方法です。
新会社は資金がないため、銀行から買い取り資金を調達します。

<メリット>
手続きが簡単(設立と買取りという2段階で完了)。
株主が分散している場合に一気に集約できる
・創業者の株を現金化して株価上昇を止められるので相続対策になる。
100%子会社からの配当は無税であるため、持株会社は配当をそのまま返済資金に充てられる。

<デメリット>
・株を手放す個人は2割の譲渡所得税負担が発生。
・持株会社は収益源がないため、借入金返済のために事業会社から配当をもらい続ける必要がある
・買い取り価格は通常相続税評価額を使うので高くなる。

 

② 株式移転(交換)

 どちらも事業再編の手法でよく似た方法ですが、違いは新会社を作るかどうかです。
株式移転既存会社の株主が株を新会社に提供して、代わりに新会社の株を受け取ります
株式交換既存会社が複数ある場合に一社を親会社と決めて子会社をぶら下げていく方法です。子会社の株主は親会社の株をもらうことで親子間は100%の資本関係になります。

<メリット>
譲渡所得税2割がかからない
・買収や売却などM&Aを行ないやすい
・設立年数、会社規模、純資産など要件を見たせば株価が下がることもある

<デメリット>
手続きが複雑(公告や契約書の整備など)。
株主構成は変わらないので根本的な相続対策にはならない

 

 どちらかというと①買い取り方式相続対策メイン②株式移転(交換)事業再編メインという位置づけになります。

 どの方法を採るにしろ、その後の持株会社運営も想定しておく必要があります。
持株会社の収益源として配当、利息、ロイヤリティ、経営指導料、事務代行、不動産賃貸などが考えられますが、実態を伴うものでないと寄附金と判断されて事業会社で経費にならないこともあります
また連結納税を採用するかどうか、繰越欠損金をどう活用するかなどグループ会社の数が増えると検討すべき事項も増えてきます。

 当たり前のことですが「作ること」が目的はなく「活用して社業を伸ばすこと」が目的ですので十分に検討した上で実行していきましょう。