会社が配当を受け取った場合には、二重課税を防ぐために益金不算入(税金計算上は減算して課税しない)の制度があります。
益金不算入の割合は持株割合によって決まっていますが、令和5年3月決算から改正があるので確認しておきます。
1.改正前
① 完全子法人(100%保有):配当 × 100%
② 関連法人(1/3超100%未満):配当-関連法人株式等に係る負債利子
負債利子を控除した全額が益金不算入になります。
利子のうち関連法人株式等に対応する部分は、配当をもらうために借入をして株を買ったと考えて益金不算入の対象からは外れます。
・控除額=負債利子 × 関連法人株式等の簿価/総資産の簿価(当期と前期の合計)
③ その他(5%超1/3未満):配当 × 50%
④ 非支配目的(5%未満) :配当 × 20%
2.改正点
① 持株割合の判定
改正前は1社単位で個別に持株割合を判定していましたが、改正後は完全支配関係があるグループ全体で判定します。
従来は個別に判定して30%だったものが、完全支配のグループ全体で判定して50%を超えるような場合にはステップが1つ上がって減算額が倍近くに増えるので減税方向の改正と言えます。
② 負債利子控除
関連会社間では利息を低くコントロールすることも可能なので、強制的に4%と定められました。
<原則> 関連法人株式等の配当の4%
<特例> 支払利子合計の10%(関連法人株式等の配当の4%以下の場合)
③ 適用時期
令和4年4月1日以後開始事業年度(令和5年3月決算~)
細かい改正ですが、有利な内容もあるのでグループ間で配当のやり取りがある場合は見落としのないようにしましょう。