前回の続きでマンション売却時の税金について、居住用と貸付用の違いに着目しながら見ていきます。
2.取得費
<共通>
まず購入価格を減価償却する建物としない土地とに区分します。
購入時の契約書に内訳がある場合や消費税から逆算できる場合はそのまま使いますが、合計金額しかない場合は按分します。
按分方法は前回の売却時と同じというか裏返しなので、固定資産税評価額など合理的な基準で按分します。
<違い>
・貸付用:建物を通常の耐用年数で償却
・居住用:建物を1.5倍の耐用年数で償却(年数も半年単位)
耐用年数については鉄骨鉄筋コンクリート造であれば47年(償却率0.022)です。
自己の居住用の場合は貸している状態よりも傷んでいかないという考え方により耐用年数を長く考えて、47年 × 1.5=70年(1年未満切捨て)と計算します(償却率0.015)
なお居住用の場合は耐用年数を掛ける前に0.9を掛けます。
貸付用では0.9を掛ける計算はなくなったのですが、居住用では特に改正がないため、旧定額法の計算方法のままで残っています。
また耐用年数だけでなく償却する期間についても異なります。
貸付用については確定申告もしていて正確に把握できるので原則通り月単位で計算しますが、居住用の場合は売る時にしか計算しないので、6か月以上は1年、6か月未満は切り捨てるという大まかな計算をします。
(例)1億円のマンションを買って5年9か月経過
・貸付用:1億円 × 0.022×5年+1億円 × 0.022 × 9/12=1265万円
・居住用:1億円 × 0.9 × 0.015 × 6年=810万円
購入額から減価償却費を控除した残額が取得費(購入原価)になります。
3.譲渡経費
<共通>
〇 仲介手数料
〇 印紙代
〇 契約書作成費用
✖ 抵当権抹消登記費用(売るために直接必要でない)
✖ 引越代や清掃費(売ったあとの話)
✖ 税理士費用(売ったあとの話)
✖ 固定資産税(維持費)
(つづく)