令和5年度税制改正大綱 ⑤ ベンチャー支援

posted by 2022.12.23

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 税制改正大綱の5回目はベンチャー支援のための所得税軽減について見ていきます。

 

1.スタートアップ支援

① 概要

 スタートアップ企業(特定株式)の設立時に出資した場合に、株式の売却益(上場及び非上場)から控除できる制度が創設されます。
さらにその後特定株式を売却した際には20億円の非課税枠があります。
なお、2のエンジェル税制との選択制とされます。

② 特定株式の範囲

・設立後1年未満
・販売費及び一般管理費 ÷ 出資の割合が30%超
・1%以上は他人の株式が入っている
・非上場で大規模法人の子会社でない

 

2.エンジェル税制の拡充

① 概要

 特定のベンチャー企業に出資した場合には、株式の売却益から控除されるエンジェル税制について、特定株式売却時に20億円の非課税枠が設けられます。
従来は出資時の控除のみの特例でしたが、1に合わせる形で売却時に20億円の非課税枠が設けられます。

② 特定株式の範囲

・設立後5年未満
・営業損益がマイナス
・売上がゼロまたは試験研究費 ÷ 出資の割合が30%超
・5%以上は他人の株式が入っている(改正前は16.6%)

 

3.ストックオプション税制の拡充

① 概要

 特定の取締役等が新株予約権を行使した場合に、行使時点での含み益が非課税とされますが、この行使期限が10年から15年に延長されます。

② 対象となる会社

・設立後5年未満
・非上場 等

 

 1.2については上場で多額の利益を得た創業者等が他のベンチャー企業に出資するケースが想定されています。
売却益への課税を軽減することで資金を循環させて、スタートアップ・エコシステムを強化することが狙いとなっています。