国税庁から令和3事務年度の所得税の調査状況が公表されていましたので、最近の状況を確認しておきます。
1.調査件数
・全体 :60万件(前年比+19%)
・特別調査、一般調査:2.4万件(+29%)
・着眼調査 :0.7万件(+44%)
・簡易な接触:56.8万件(+19%)
※調査の種類
・特別調査…多額な脱漏が見込まれる個人を対象に相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施する調査
・一般調査…高額、悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査
・着眼調査…資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査
・簡易な接触…文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するもの
コロナ前の平成30年度が61万件だったので全体件数はコロナ前に戻っていますが、実地調査では約1/3に減っています。
2.申告漏れ
・特別一般:9割で申告漏れ、1件あたり270万円の追徴税
・着眼 :7割で申告漏れ、1件あたり 32万円の追徴税
・簡易な接触:5割で申告漏れ、1件あたり 4万円の追徴税
上2つが実地調査ですが、高い確率で申告漏れが見つかっており、ある程度目途をつけた上で調査していることが窺えます。
3.重点項目
① 富裕層
・調査件数3%増、申告漏れ割合88%、1件あたり1067万円の追徴税
② 海外投資
・調査件数6%減、申告漏れ割合88%、1件あたり1119万円の追徴税
③ ネット取引
・シェアリングエコノミー等(フリマ、クラファン、ネット通販、ギグワーカー等)
調査件数31%増、申告漏れ割合90%、1件あたり266万円の追徴税
・暗号資産
調査件数3%増、申告漏れ割合91%、1件あたり1194万円の追徴税
④ 無申告
・調査件数28%増、1件あたり497万円の追徴税
重点項目については把握が難しいものが多いですが、それでも高い確率で申告漏れが見つかっており、国税庁の本気度が窺えます。
つまり「バレる」ということです。