代償分割と贈与税 ①

posted by 2022.04.14

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 相続の遺産分割をする際に代償分割という方法を使う場合がありますが、生命保険金が多額にある場合、贈与税が課税されることがあります。

相続税の遺産分割なのに贈与税??

 

 本題に入る前に遺産分割の方法から見ていきます。
遺産分割の方法としては4つあります。

① 現物分割

 遺産をそのままの形で分割する方法。
例えば預金2000万円を1000万円ずつ分けるようなケースです。
手続き的にも簡単でオーソドックスな方法ですが、1筆の土地を現物分割する場合には測量や分筆が必要となります。

 

② 共有分割

 土地や建物などを複数の名義で相続する方法。
平等に分けやすい点がメリットですが、後日売却や建築などをする全員の同意が必要であるため、利用に制約が生じることがあります。
さらに代替わりが進むに連れて関係者が増えるため、より調整が難しくなります。
逆にすぐ売却する予定の不動産であれば共有のデメリットはさほどありません。

 

③ 換価分割

 遺産を売却して現金化した上で分割する方法。
現金なので平等に分けやすいのがメリットですが、そもそも住んでいるから売れない、あるいは買い手がつかないといったこともあり得ます。
また売却に伴う譲渡所得が発生する場合にはその分手取りは減ることになります。

 

④ 代償分割

 遺産を単独で相続した人が他に人に現金等を支払うことで精算する方法。
例えば相続人が兄と弟で財産は自宅の4000万円のみとします。
兄が自宅を相続すると弟はゼロになってしまいます。
弟にも1/2に相続権がありますので、兄が自分の預金から弟に2000万円支払って1/2ずつになるように調整します。

・兄の相続税対象 自宅4000万円-代償金2000万円=2000万円

・弟の相続税対象 代償金2000万円

 自宅を売らずに済むのがメリットですが兄は弟に支払う2000万円を用意する必要があります。
代償金を支払うために被相続人が生命保険に加入して備えることがありますが、その場合に贈与税が課税されるケースがあります。

(つづく)