税制改正大綱の最終回は末尾の”検討事項”です。
ここには改正したいけど時間切れや政治的要因などで繰り越されているものが載っています。
1.カーボンニュートラル
・イノベーションや成長の観点から専門的技術的な検討
・経済情勢や国際競争力への影響等を踏まえ、国益の観点から検討
2.前年度とほぼ同じ内容
・年金課税 :拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討
・金融所得課税 :デリバティブ取引含めて更なる一体化
・小規模企業税制:個人と法人のバランス、各種控除の見直し
・自動車諸税 :受益と負担など課税のあり方を中長期的に検討
・原油用石油製品等に係る免税、還付措置の本則化
・帳簿の電子化
・医療への優遇のあり方を検討:事業税非課税や軽減税率
・インフラ企業の外形標準課税のあり方
3.検討事項以外で先送りされたもの
① 経済界への賃上げと設備投資期待
投資余力があるのに活用されていない場合にどのような対応を講ずるべきかという視点で幅広く検討
② 贈与税
・分割贈与により相続税の累進負担を回避して多額の財産を移転できている。
・相続税と贈与税を一体的に捉えて、相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど中立的な税制の構築を目指す。
・経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は家族内の資産移転に何らの税負担も求めないことから、格差固定化防止の観点を踏まえ不断の見直しを行う。
③ 高所得者の金融所得
低い所得税負担率を是正策を検討する。ただし一般投資家の投資環境を損なわないよう配慮する。
④ 繰越欠損金
コロナ対策の上限特例の廃止を検討
⑤ 配当の源泉徴収
完全子会社からの配当の源泉徴収見直し等により税収が減少するため、その影響を緩和するための対応を検討
⑥ 非居住者の給与課税
コロナ後に見込まれる国際間の人の往来の再拡大を踏まえ、非居住者の給与課税のあり方について検討
注目されていた贈与税については先送りされましたが、書きぶりが具体的なので来年度こそ改正しようという意気込みのようなものを感じます。