税制改正大綱の10回目は税理士制度についてです。
ほとんど改正のない税理士法ですが、時代に合わせて変化する必要があることから懲戒や試験に関して改正が行われます。
1.懲戒制度
<概要>
税理士は脱税など不正に関わった場合、2年以内の業務停止や3年間は復帰できない業務禁止などの処分が科されます。
この処分を逃れるために自主廃業するケースが10年で50件以上あり、中には一定期間後に処分がないまま復帰していることもあります。
このような懲戒逃れを防ぐため、元税理士であっても処分できるよう改正が行われます。
<改正内容>
・氏名や不正内容をHPや官報で公表
・業務停止相当に該当すれば期間中の復帰を禁止
・懲戒処分等の除斥期間の創設(10年)
・税理士法違反に関する質問検査等の強化
・税理士業務が停止された場合、税理士法人社員からの法定脱退事由に該当
2.税理士試験の受験資格緩和
<概要>
受験者数が年々減少し、高齢化も進んでいる現状を考慮して、令和5年4月1日から受験資格が緩和されます。
<改正内容>
・会計学科目(簿記、財務諸表論)の受験資格を不要に
・大学での履修科目による受験資格の拡大(法律学又は経済学⇒社会科学)
大学で法律学又は経済学を修めていない場合、簿記1級の高い壁を超えないと受験できなかったのですが、ほぼ誰でも受験できるようになります。
3.その他
<改正内容>
・リモートワーク等柔軟な働き方への対応(設備や人など物理的事実で事務所の判定をしない)
・電子化の推進を明文化
・税理士法人の業務に租税教育や後見人を追加
・書面添付の簡素化
一般の方に直接影響のある改正ではありませんが、不正を行う税理士の排除や若い税理士による活性化は税理士の存在意義という観点では重要な改正と言えるかも知れません。