税務調査に来やすい会社 ②

posted by 2020.09.28

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 前回の続きで税務調査に来やすい会社の特徴です。
前回は一般的な傾向でしたが、今回はもう少し絞って個別の条件を見ていきます。

 

⑥ 決算書の異常値

 同じ商売をしていれば利益率経費構造が大きく変動することはありません。それは同じ会社の時系列で見た場合もそうですし、同業種の他社と比べる場合も同様です。
そのため利益率や主要経費の割合が大きく変動していると何か理由があると考えます。
分かりやすい例で言うと、粗利率が急激に悪化すると、売上げを抜いている可能性や在庫を少なく計上している可能性も想定されます。
また急成長している会社も急激な変動と言えるので調査に来やすい傾向があります。

 

業種による選定

 令和元年度に脱税が多かった業種は、建設業、不動産業、人材派遣業の順なのでこれらの業種は通常よりは注意深く見ています。
キャンペーンではありませんが、税務署が時期によってチェックを強化している業種もあります。今であれば海外取引が多い業種が該当します。

 またごまかしやすい業種とそうでない業種という違いもあります。
現金売上げ中心であればレジ次第なのでごまかしやすいですが、振込のみで取引先が会社中心であればお金の流れがはっきりしていてごまかしにくいと言えます。

 

⑧ タレコミ・テレビ

 内部告発などタレコミがあった会社も調査に来ます。
もちろんガセネタもあるので全部真に受けているわけではありませんが、注意すべき情報にはなっています。
その意味では、取引先や従業員とトラブルがあった会社は調査につながる可能性があります。

 またテレビや雑誌で大々的に取り上げられている会社は売上が急増していることもあり、調査に来やすいです。
社長の豪邸や高級車が紹介されていればなおさらで役員報酬から財産額を推定して、売上げを社長が抜いていないかという視点でテレビを観ているかも知れません。

 

⑨ 役員との関連

 富裕層に対する調査も強化されているので社長の調査をする意味でも会社を調査することがあります。
特に不動産購入など個人で大きなお金の動きがある場合や、役員と会社間での資金移動や不動産売買がある場合なども適正かどうかをチェックします。

 

⑩ 支払調書などとの不一致

 支払調書や資料せんの提出により、取引内容は税務署に報告されています。
これらが実際の取引と一致していない場合や、総額が申告している売上げとあまりに乖離しているとシンプルに売上げが漏れている可能性があり、調査対象になりやすいです。

 

 上記に挙げた内容は必ずしも脱税や計上漏れというわけではなく、説明がつくものがほとんどだと思いますが、税務署は疑うのが仕事なので「税務調査に行って確認してみよう」と考えがちです。
税務署側の視点も踏まえつつ決算書類や概況書を作成するとともに、いつ税務調査が来ても説明できるようにしておきましょう。