人手不足もあり残業代の未払いがより社会問題化しています。
厚生労働省によると2016年度の未払残業代は前年度から27億円増え、127億円にも及んでいます。
対象となった労働者数は約10万人で未払い残業代の平均金額は1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円となっています。
未払残業代の証拠を集めるためのアプリが1万ダウンロードを超えたというようなニュースもありました。
この未払残業代は税務的にはどう取り扱うのでしょうか。
<労働者側>
どういう名目で受け取ったかにより取扱いが変わります。
『一時金』
過去に遡って修正せず、受け取りが確定した年の所得(賞与)となります。
『過年度給料』
それぞれの年の所得になるので年末調整をやり直します。
所得税や住民税も過年度分を修正します。
<会社側>
≪源泉所得税≫
過年度給料で年末調整をやり直したことによる不足分は支給の翌月10日までに納付する必要があります。
≪法人税≫
債務確定ベースで考えるので支給額が決定した事業年度の経費(損金)となります。
<社会保険>
税金ではありませんが社会保険にも影響があります。
社会保険料には2年の時効があるため、それ以前のものは払うことができず将来受け取る年金に影響が出ます。
そこで『一時金』か『過年度給料』かという名目に関わらず、社会保険の計算上は”賞与”とすることが多いようです。
会社の事務手続きもこの方がシンプルです。
働き方改革やブラック企業の公表など未払残業代や名ばかり管理職を巡る取り組みは強化されています。
人材募集の観点からも労働環境の適正化が求められる時代になっていると言えます。