前回の続きでストップオプションにどう課税されるかを見ていきます。
ストックオプションの権利付与は有償の場合と無償の場合とがありますが、ケースとして多い無償の場合の課税について確認します。
2.課税
<原則的な考え方>
① 権利付与時
・課税なし(権利をもらっただけで損も得もしていない)
② 権利行使時
・行使価格(100円)と時価(800円)との差額に給与課税(最高税率55%)
③ 株式売却時
・売却額(1000円)と行使時の時価(800円)との差額に譲渡所得課税(20%)
原則的な考え方でいくと、② 権利行使時に(800円-100円)×1万株700万円に給与課税されてしまいますが、まだ株を売っていないのでお金がありません。
そこで一定の要件を満たす「税制適格ストックオプション」については、② 権利行使時に課税をせずに、③ 売却時まで課税を繰り延べることとされています。
税制適格の場合は、③ 売却時のタイミングで1回だけ譲渡所得課税されます。(1000円-100円)× 1万株 × 20%
<税制適格ストックオプションの要件>
・発行価額:無償発行
・行使価額:発行時の時価以上
・付与対象者:会社及びその子会社の取締役、執行役、使用人のみ
大口株主とその親族は対象外
・行使期間:付与決議日後、2~10年後までの8年間
・行使限度:年間1200万円まで。超えると全額に課税
・譲渡制限:第三者への譲渡禁止
・保管委託:証券会社又は金融機関等へ保管委託
税制適格ストックオプションは税金が安くなる分、要件が厳しく使いづらい部分があります。
そこで2014年に開発されたのが今回話題となっている信託型です。
信託型の詳細については次回へ続きます。