税率で振り返る”平成”

posted by 2019.01.18

 30年続いた「平成」も、あと数か月で終わります。
テレビや雑誌などで平成を振り返る特集が多く組まれていますが、ここでは会計事務所らしく、最高税率に注目して税金について振り返ってみます。

最高税率2

 平成元年の所得税と住民税を合計すると75%です。
最高税率が適用されるのは8,000万円を超える部分の所得だけなので、1億円を稼いだら7,500万円の納税額という計算にはならないのですが、それでもなかなかのインパクトです。
ただこの税率は、昭和62年に引き下げられてからの数字で、それ以前の最高税率は、所得税が75%、住民税が18%で、合計するとなんと93%でした。
そう考えると、現在の最高税率は所得税と住民税を合わせても55%ですから、その頃に比べるとずいぶん低くなったといえます。

 

 個人に対して課される税金、もうひとつは相続税です。平成元年といえばバブル景気の真っ只中ですから、不運にも70%の最高税率で税金を支払われた方もいらっしゃいます。
平成27年に基礎控除が大きく減額されたこともあって増税のイメージが強い相続税ですが、最高税率に着目すると所得税などと同様に現在は55%と低くなっています。

 

 法人に対して課される税金、法人税はどうかというと、まず気が付くのは、所得税に比べると低く抑えられていることです。
個人にとっては、税金が高いからといって国境を越えて引っ越すのはハードルが高いですが、会社にとってはそうでもありません。
日本の税金が高いと思えば、香港なりシンガポールなりに本社を移してしまうことも可能です。
そういう意味で、法人税率というのは国際競争の荒波にさらされていますから、無茶苦茶に高い税率というのは難しくなります。
こちらも平成の30年間で40%から23.2%とずいぶん低くなりました。

 

 最後に消費税。これは平成元年に3%から始まった歴史の浅い税金です。紆余曲折を経て、今年の10月から10%へ増税されることになりました。
他の4つの税金は減税されているのですが、消費税だけは30年間で3倍超の増税です。
そもそもは「広く浅く負担を求める」というものでしたが、税率が10%ともなると、とても浅くとはいえない気もします。

 

 30年間で振り返ると、世の中の変化やそれに対応する税金の変化が見えてきます。
次の30年はどんな30年になるのでしょうか。