億ションと税金 ④

posted by 2023.05.18

26546892_s

 前回でマンション売却時の税額の計算までいきましたが、最後に買換えについて確認します。

 

6.買換え

<違い>

・貸付用:事業用買換え
・居住用:居住用買換え

 貸付事業に使っている不動産を売却して、その対価で新たな事業用不動産を購入した場合には、置き換えでキャッシュがないことや経済活性化の観点から、譲渡益への課税が8割繰り延べられます(東京、大阪、名古屋圏は7.5割、東京都特別区は7割)。
残った2~3割部分については売却額と同額以上の投資をしても所得税や住民税がかかります。

 

 事業用買換えには様々なタイプがありますが、よく使われるのが3号買換えで次のような要件があります。

・1/1時点の所有期間が10年超の国内の土地等や建物、構築物を譲渡
・譲渡年か前後1年の間に国内の土地等や建物、構築物を取得
・土地等は建築物の敷地で300㎡以上かつ譲渡土地面積の5倍以内
・取得から1年以内に事業共用 等

 事業用買換えについては年々縮小されながら続いてきていますが、来年4月以降に大きな改正があります。
これまでは売った年の翌年末までに買えばよかったのですが、改正後は事前届出が追加で必要となります。
個人の場合は1年を3か月ごとに区切って、譲渡日又は取得日の属するそれぞれの期間の2か月後(5、8、11、2月末)が届出の提出期限となります。
つまり、最短で2か月以内に事業用買換えを使うかどうかを判断する必要があります。

 

 一方、居住用買換えについても次のような要件を満たせば、譲渡益への課税が繰り延べられます。

所有期間及び居住期間が10年超の家屋やその敷地等の譲渡
・売却代金が1億円以下
・譲渡年か前後1年の間に自宅を取得
・取得する家屋の床面積が50㎡以上で土地面積が500㎡以下 等

 なお、居住用買換えについては前回解説した3000万円控除とは併用できないため、どちらか有利な方を選択します。

 

 事業用と居住用では様々な要件が異なりますが、事業用は最大でも8割繰り延べですが、居住用は10割繰り延べられる点が大きな違いと言えます。

 

 買換えについてはそれだけで本1冊書ける内容なので、実際に適用する場合は細かく要件を確認するようにしましょう。