長々と引っ張った税制改正大綱の最終回は”検討事項”です。
ここには改正したいけど時間切れや政治的要因などで繰り越されているものが載っています。
今後の方向性を読むヒントになるので内容を見ておきます。
1.自動車諸税の見直し
・カーボンニュートラル実現へ積極的に貢献(電気自動車の普及推進)
・利用に応じた負担の適正化についてエコカー減税の期限到来時までに検討
2.出産・子育て応援交付金
・妊娠出産時の10万円支援について、令和6年度以降に継続実施するための安定財源の確保を早急に検討。
3.前年度とほぼ同じ内容
・年金課税 :拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討
・金融所得課税 :デリバティブ取引含めて更なる一体化
・小規模企業税制:個人と法人のバランス、各種控除の見直し
・原油用石油製品等に係る免税、還付措置の本則化
・帳簿の電子化
・医療への優遇のあり方を検討:事業税非課税や軽減税率
・インフラ企業の外形標準課税のあり方
4.検討事項以外で先送りされたもの
① 退職金及び年金課税
・税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組み作り
・例えば、年金が一時金払いか年金払いかで税制の取扱いが異なることや退職金の控除が勤続20年超で増加することなどが見直し対象。
② 記帳水準の向上
・個人事業者は複式簿記が3割しかなく、給付金や融資の障害となっている。
・青色申告制度の見直しも含めて記帳水準向上に向けた検討を行う。
③ 外形標準課税
・減資による外形標準課税逃れが目立つ。また大企業の子会社も資本金を敢えて1億円以下に抑えている。
・制度の趣旨に反し、地方税収の安定を損なうので実質的な大規模法人を対象に制度的な見直しを検討。
④ マンションの相続税評価
・市場時価と通達による評価額が大きく乖離するケースがある。
・個別判断では納税者の予見可能性が損なわれるので実態を踏まえて適正化を検討。
⑤ 防衛力強化
・令和9年度に向けて段階的に増税を行い1兆円強を確保。
・法人税に4~5%の付加税(中小法人は500万円の控除あり)
所得税は復興税から1%を付け替え、復興税は令和19年までの期限を延長
たばこ税は1本あたり3円を段階的に引き上げ
去年の検討事項に書かれていた項目で今回改正されたものもあるだけに今後の動きが注目されます。