税制改正大綱の１０回目は納税環境等について見ていきます。

 

１．ダイレクト納付の利便性向上

① 概要

　あらかじめ口座を登録しておいて税金を引き落とすダイレクト納付について、システムのトラブル等に対応するため、納期限が１日伸びます。

② 内容

　次の場合には法定納期限に納付があったとみなされます。
・ｅ－Ｔａｘによる期限内申告
・ダイレクト納付による手続きを期限内に行い、翌日付で納付
・納税額が１億円以下

③ 適用時期

　令和６年４月１日以後のダイレクト納付

 

２．加算税の引き上げ

① 無申告加算税

＜現行＞
・原則：１５％（税額５０万円超部分は２０％）

・調査通知以後の申告：１０％（税額５０万円超部分は１５％）

＜改正＞
・原則：税額３００万円超３０％の区分を追加

・調査通知以後の申告：税額３００万円超２５％の区分を追加

 

② １０％上乗せの拡大

＜現行＞
・過去５年以内に無申告加算税又は重加算税を課されていた場合に１０％上乗せ

＜改正＞
・過去２年以内に対象を拡大

＜税率＞
・無申告加算税　　　　１５％⇒２５％（調査通知後はさらに５％）
・重加算税（過少申告）３５％⇒４５％
・重加算税（無申告）　４０％⇒５０％

 

③ 適用時期

　令和６年１月１日以後に法定申告期限到来分

 

　ダイレクト納付についてはアクセス集中などにより処理が遅れることや銀行とのタイムラグを考慮しているものと思われます。

　加算税については税務調査においても無申告案件を重点的に調査していることもあり、罰金を重くする方向で改正されています。