来年10月にスタートするインボイス制度。
来年3月までに申請すれば10月のスタートに間に合うので「まだまだ日があるな」と悠長に構えていたのですが、国税庁から税理士会にも早期の登録申請を周知して下さいという依頼が来ていて、段々迫ってきた感があります。
現状で課税事業者の場合は、簡単な申請書を税務署に提出して、付いた登録番号を請求書や領収書に印字できるようシステムを更新すれば準備は完了です。
問題は免税事業者で、来年10月から課税事業者になるのか、経過措置を使うのかなどを検討する必要があります。
支払う側としても、相手先が課税事業者なのか、免税事業者なのか、経過措置を使うのかによって区分して経理しないといけないので手間は増えそうです。
確認が必要な相手先としてはフリーランスや業務委託先で小規模な事業者、会社以外の会員組織などが考えられますが、意外に影響がありそうなのが個人からの”法人成り”です。
個人事業者である程度規模が大きくなって利益が出ていると法人を設立して節税しようかという話になります。
法人にすることで税金そのものに関して次のような節税効果があります。
・超過累進税率(15~55%)の所得税から固定税率(約25~35%)の法人税への変更
・親族への給与支給で所得分散
・設立後2年間の消費税免税
消費税については、例えば売上3000万円の個人事業者(サービス業)なら150万円 × 2年で300万円の消費税が法人成りすることで浮いてくるので節税効果はかなり大きいです。
ところがインボイス登録をするといきなり消費税の納税義務が発生するので設立後2年間の消費税節税はできなくなります。
免税制度については、売上げの引き下げ、資本金1000万円以上、子会社での使用不可、2年から1年への短縮など徐々に縮小されてきましたが、インボイス制度の導入も影響を与えそうです。
法人成りする場合や子会社を設立する場合には、節税ありきではなく、商売をしていく上での必要性や効果が基本的な判断基準となります。