小規模宅地等の特例と老人ホーム ②

posted by 2022.07.11

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 前回の続きで老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例について見ていきます。

 

 3つの要件の詳細を確認します。

1.相続開始時点で要介護又は要支援認定等を受けている

・要介護認定
・要支援認定
・介護予防のための基本チェックリストに該当
・障害者支援区分の認定

 この認定は相続開始時点にあればいいので老人ホーム等に入居した時点で認定がなくても構いません。
また要介護認定の申請を行っている間に亡くなってしまった場合もあとで申請が通っていればOKです(申請日に効果がさかのぼるため)。

 

2.老人福祉法等に認定された老人ホーム等に入居している

・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・有料老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護医療院
・サービス付き高齢者向け住宅
・障害者支援施設
・共同生活援助を行う住居

 サ高住でもOKと幅広く対象となっています。

 

3.自宅を賃貸していない

 老人ホームに入居した時の状態が維持されているのが要件なので、有償無償を問わず貸している場合は対象外です。
ただし、一定要件を満たせば貸付事業用宅地として小規模宅地等の特例を受けれらる場合もあります(50%、上限200㎡)。

 

 では親族が住んでいる場合はどうなるのでしょうか。
使い方と誰が相続するかによって適用は変わります。

① 被相続人が一人暮らし+老人ホーム入居後に親族居住+相続後も居住

・配偶者  :OK(無条件に常にOK)
・生計一親族:OK
・生計別親族:NG(但し家なき子はOK)

 

② 被相続人が親族と同居+老人ホーム入居後もそのまま居住+相続後も居住

・配偶者  :OK
・生計一親族:OK(老人ホーム入居により別生計になってもOK)

 

③ 被相続人が親族と同居+老人ホーム入居時に転居して空家に

・配偶者  :OK
・生計一親族:NG
・生計別親族:NG(但し家なき子はOK)

 

 配偶者は居住用に関して常にOKなので賃貸していない限り適用があります。
子どもが同居していたようなケースは引き続き住み続けていればOK。
生計別親族については通常は無理ですが、家なき子(別生計、持ち家なし、被相続人に配偶者や同居親族がいない)であれば適用があります。

 

 老人ホーム入居を機にガラッと使い方が変わることもあるので小規模宅地等の特例の適用があるかどうかあらかじめ確認しておきましょう。