インボイス登録すべきか否か

posted by 2022.03.9

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 来年10月から始まる消費税のインボイス制度
10月からスタートする場合の申請期限が来年3月なのでまだ1年ありますが、そろそろ出そうかとお考えの方も多いかも知れません。

 

 課税事業者の場合は取引上不利にならないようにインボイス登録するのが基本になりますが、悩ましいのが免税事業者です。
飲食店や小売店などで顧客の多くが個人消費者であれば顧客側で経費に落とすこともないのでインボイス登録しなくてもあまり商売に影響はないかも知れません。

 それ以外では個人資産を自分の会社に貸しているケースも検討の余地があります。
居住用の資産であれば消費税が非課税なので関係ありませんが、事務所や倉庫などは消費税が課税なので会社での納税額に影響が出ます。
会社で消費税を控除できるように個人でインボイス登録すると、今度は個人で消費税を払うことになります。
ということは結局”行ってこい”で同じこと?
数字を入れて検証してみます。

 

:個人の建物を倉庫用として月50万円(税込55万円)で自分の会社へ貸付け。個人の経費は固定資産税と減価償却費のみ。

① インボイスなし

<個人>
・消費税の納税なし(年間売上660万円≦1000万円で免税)

<法人>
・消費税の納税額は現状より60万円増加(仕入税額控除できないため)

 

② インボイスあり

<個人>
・受取消費税60万円-支払消費税0円=納税60万円

<法人>
・消費税の納税額は現状と変わらず(仕入税額控除60万円)

 ここまでだと個人法人合計で考えると①も②も負担額は+60万円で同じです。

 

③ インボイスあり+個人で簡易課税選択

<個人>
・受取消費税60万円-簡易40%控除=納税36万円

<法人>
・消費税の納税額は現状と変わらず(仕入税額控除60万円)

 2年前の課税売上げが年5000万円以下なら簡易課税を選べるので不動産貸付業ならみなし仕入率40%を控除できます。

 

④ インボイスなし+法人で経過措置

<個人>
・消費税の納税なし(年間売上660万円≦1000万円で免税)

<法人>
・経過措置で80%控除可能なので60万円×20%=12万円が負担増

 免税事業者への支払いであってもインボイス導入から3年間は80%、次の3年間は50%を控除できます。

 

 ③と④を比較すると④の方が負担が少ないので6年間は経過措置を選んで、その後はインボイス登録した上で簡易課税を選択するのが有利ということになります。

 

 実際には自分の会社以外にも貸していればインボイスを選択せざるを得ないケースもありますし、個人で課税の経費があれば控除できるので納税額は減ります。
それぞれの状況で試算してご検討下さい。