複利厚生費の税務 ④ 慶弔・健康

posted by 2019.06.13

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 福利厚生費シリーズ最終回は「慶弔・健康」に関わるものです。

 

4.慶弔・健康関係

⑥ 慶弔

 結婚や出産などの祝い金、病気やケガの見舞金については、社会通念上妥当な金額であれば福利厚生費として経費になります。

 一定の基準に従っていることが条件なので『慶弔見舞金規定』があることがベターです。規定があればお手盛りでないことが証明できますし、とかく書類がある方が税務調査上は説得力が出ます。

 なお医療保険などにより会社に1日いくらという感じで保険金が出ることがあります。
気持ち的には保険金をそのまま見舞金として渡してあげたいところですが、見舞金の金額が妥当かという話と保険金でいくら出るかという話は別なので注意しましょう。

 

⑦ 検診費用

 企業には労働契約法に基づいて、従業員の生命や身体の安全を確保しながら働けるように配慮する義務があります。
その一環で定期健診人間ドックの費用を会社が負担することがありますが、平等で金額も社会通念上妥当であれば福利厚生費として経費になります。
”平等”というのは必ずしも全員同じ内容である必要はなく、40歳未満は定期健診、40歳以上は人間ドック、というように合理的な区分により差をつけている場合は問題ありません。
また支払に関しては、会社から医療機関に直接支払うことも福利厚生費になるための要件です。

 

⑧ 保険料

 従業員満足度の向上と節税の観点から保険に加入することがあります。
主に加入される保険は次のようなものです。

ア.定期保険:掛捨ての死亡保障。遺族への退職金原資。

イ.医療保険:治療や入院費用の保障。見舞金の原資。

ウ.養老保険:満期は会社受け取り、死亡は遺族受け取りで貯蓄と保障の両立。

 以前は養老保険の加入が多かったのですが、低金利で利回りが低下していることもあって新規加入は減っています。
会計処理としては、アとイは保険料又は福利厚生費として経費になり、ウは半額が経費、半額は貯蓄部分として資産(保険積立金)になります。
どの保険にも共通しますが、特定の人を優遇しないのが経費となる要件ですが、入社3年以上などの基準を設けることは可能です。

 

 4回にわたって福利厚生費を取り上げました。
様々な福利厚生がありますが、人材募集や社員満足度の向上のためには今後も継続的な取り組みが必要になってきそうです。