今回の税制改正大綱では相続税に関する増税が多いのですが、その1つに一般社団法人を使った相続税の節税封じがあります。
一般社団法人を使った節税として次のパターンがあります。
・身内が役員である一般社団法人等への寄付による贈与税軽減。
・身内が役員である一般社団法人に財産を移転して相続税そのものをなくす。
<贈与税>
≪概要≫
贈与税は財産を受け取った個人にかかるのが原則です。
したがって持分の定めのない法人(社団や財団など)に財産を寄付した場合には贈与税はかかりません。
単なる寄付なら問題ありませんが、身内を役員にするなど実質的に財産を贈与したと認められる場合にはたとえ法人であっても贈与税がかかります。
身内の贈与税を不当に減少させる法人への贈与と認定されるか、単なる寄付なのかという点に関しては要件があります。
この要件について今回の改正で厳しくなる方向で明確化されます。
≪贈与税を不当に減少させない要件≫
・運営組織が適正で、役員のうち親族が1/3以下である等の定款の定めがある。※
・寄付した人の親族に特別の利益を与えない。
・解散した場合の残余財産は親族に行かず、国等に寄付される定め。
・法令や公益に反する事実がない。
※例外
この要件を満たさない場合でも、法人の社員・役員・職員に寄付した人の親族がおらず、現在も将来も私的に支配する可能性がないと認められる場合はセーフ。
上記は改正前の規定ですが、判定にあいまいな点があることから、規定を明確化し、1つでも要件から外れたら贈与税を課す方向で改正されます。
どの程度厳しくなるかは詳細な規定が出てからの判断になります。
ちょっとマニアックな論点ですが、社団や財団を活用して財産を寄付している方にとっては影響の大きい改正となります。
相続税の節税に関しては次回へ続きます。