国税では新しい税金ができることはなかなかありませんが、地方税では条例で自治体独自の新税を作る「法定外税」という方法があります。
東京都や大阪府の宿泊税のような一般に馴染みのあるものから、泉佐野市の空港連絡橋利用税や富士河口湖町の遊漁税のような地域性のあるものまで幅広い税金があり、現在では17種類の税金が64の自治体で導入されています。
京都市では「空き家新税」の導入を目指しており、今月に総務相の同意が得られたことから2026年の施行が予定されています。
空き家新税、正式名称「非居住住宅利活用促進税」はどのような税金なのでしょうか。
① 目的
居住用建物が建っていると土地の固定資産税が1/6、都市計画税が1/3になることから誰も住まなくなっても建物が放置されやすく、空き家増加の大きな要因となっています。
そこで誰も住んでいない建物やその敷地に固定資産税とは別の税金を課すことにより空き家発生を抑えようとするものです。
② 納税義務者
・非居住住宅の所有者(いわゆる空き家)
空き家かどうかは、住民登録の有無、調査票の送付、地図業者による現地確認などにより個別に判断されます。
③ 税率
・家屋:固定資産税評価額 × 0.7%
・土地:1㎡評価額 × 床面積 × 0.15%~0.6%
市の試算では、山科区の築20年の一戸建て(100㎡)で約33,000円、伏見区の築40年のマンション(60㎡)で約24,000円の税負担になるとされています。
④ 免除事項
・家屋の固定資産税評価額が100万円未満(施行後5年間、その後は20万円)
・京町家のような歴史的価値のある建造物
・募集や販売から1年以内の賃貸物件
⑤ 税収
・対象物件は約15,000件で9億5000万円の税収が見込まれています。
所有者の負担は現状の約1.5倍になることから空き家発生への一定の抑止効果が期待できそうです。
空き家は全国的な課題であるため、効果があれば他の自治体でも追随する動きがあるかも知れません。