税理士と在宅勤務

posted by 2022.02.21

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 コロナ禍の長期化もあり在宅勤務を実施する会社は増えていますが、税理士事務所も例外ではありません。
税理士業務はパソコンと資料があればできて、一人で作業する時間も長いことから在宅勤務に向いている面があります。
弊社でもまん防や緊急事態宣言の発出状況などに応じて頻度を変えながら実施しています。

 

 税理士業務は税金に関する独占業務であるだけに品質や信用を維持するために規制も厳しくなっています。
その1つが税理士法40条に定める「2か所事務所禁止規定」です。
この規定は、活動の本拠を1か所に限定することで顧客が誰と契約しているかという法律関係を明確にすること、また事務所が増えることで管理監督が行き届かず税理士以外の者が税理士業務を行うことがないようにすることを目的としています(税理士法人は税理士が支店に在籍すれば支店設置可)。

 

 在宅勤務の増加に伴って「自宅でも仕事をすれば2か所事務所になるのではないか」という懸念もありましたが、実務上は柔軟に運用されています。
”事務所”とは継続的に税理士業務を執行する場所を言いますが、該当するかどうかは「外部に対する表示の有無、設備の状況、使用人の有無等の客観的事実」によって判定するとされています。
在宅勤務における自宅は税理士の看板を上げておらず、従業員もいないので問題なし、ということになります。

 

 このような実態を考慮して、令和4年度税制改正大綱では税理士法改正も取り上げられています。
改正により事務所の判定基準が「看板等物理的な表示やHPへの表示のほか、契約書等に記載すること」となり、設備や従業員など物理的な条件が撤廃されました。

 物理的な条件の中には電話やコピー機の設置など様々なものがありましたが、今回の改正により合同事務所の設置がしやすくなることが期待されています。
個人の税理士が集まる合同事務所の場合、パーテーションなどで物理的に区切って電話回線も別にする必要がありましたが、そういった条件は撤廃されそうです。