相続法改正の影響 Ⅳ 自筆証書遺言の方式緩和

posted by 2019.01.29

isyo_ojiisan

 相続法改正の4つ目は自筆証書遺言の方式緩和です。

 

Ⅳ 自筆証書遺言の方式緩和(2019.1.13~)

① 目的
 遺言には様々な種類がありますが、よく使われるのが「公正証書遺言」「自筆証書遺言」です。
「公正証書遺言」は公証役場で作成し、保管もしてもらえるので安全確実ですが手間とコストが多少かかります(20万円程度、財産額による)。
「自筆証書遺言」は全て自分で書くので、手間もコストもかかりませんが、専門家のチェックが入らない分、内容が無効になりトラブルに発展するケースや紛失や偽造のリスクもあります。
件数で言うと、公正証書遺言は年間10万件を超えますが、自筆証書遺言の検認数はその厳格さゆえ年間2万件もありません。
そこで2つの”ええとこどり”をするイメージで要件の厳しい自筆証書遺言の方式が緩和されることとなりました。

 

② 内容

<改正前>
・財産目録含めてすべて自筆(まちがい許されない)
自分で保管
・相続時には開封に家庭裁判所での検認(確認作業)が必要。

<改正後>
財産目録はパソコン作成可で通帳コピーや登記簿謄本等は別紙でOK。但し自署でないページには署名押印必要。
法務局で保管(有料、年間数千円程度?)
・保管時に最低限の方式チェックあり(日付、署名、押印など)
・法務局保管なら相続時の検認不要。

 今までの自筆証書遺言はどんな形式で書いても自由でしたが、それに比べると新制度は法務局の様式に従う必要があるなど多少手間は増えます。
それでも相続時の安全確実さを考えると活用する値打ちは十分にあります。
今後は民間から作成キットや作成ソフトのようなものが出るでしょうし、そういったものを使えば手間も軽減されるのでないでしょうか。

 

③ 税金
 遺言内容に従って申告する点は今までと変わりません。
税金との関わりで言うと、遺言作成時に相続税を計算してみて納税資金や分配資金の段取りをしておくことが重要になってきます。