住宅ローン減税のまちがい②

posted by 2018.12.13

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 昨日の続きで住宅ローン減税のまちがいの2つ目を見ていきます。

① 住宅取得資金贈与と住宅ローン控除を併用している場合

② 居住用財産売却時の3000万円控除と住宅ローン控除を両方使ってしまっている場合

③ 住宅取得資金贈与の所得要件をオーバーしている場合

 

② 居住用財産売却時の3000万円控除と住宅ローン控除を両方使ってしまっている場合

<居住用財産の3000万円控除>

 その名の通り、自宅を売却した場合に利益から3000万円が控除できる特例です。

主な要件は次の通りです。

・自宅家屋または家屋と共に売る底地の売却。

・買い手が親子、夫婦、生計一親族などの身内でない。

・売った年の前後2年(計5年間)に他の特例を受けていない。

3つ目の条件は税法独特の考え方で、優遇し過ぎないように特例を併用できないルールになっています。

 

<租税特別措置法の併用禁止>

 居住用財産の3000万円控除は租税特別措置法35条住宅ローン控除は租税特別措置法41条に定められています。

租税特別措置法とは政策的見地から設けられた例外的規定で、税が軽減されるものもあれば、重くなるものもあります。
所得税などの本法を変えるのに比べてハードルが低いので柔軟性やスピード感がある反面、特定の業界や特定の納税者層を優遇し過ぎてしまうこともあります。

租税特別措置法による軽減規定は複数の要件に該当してもいずれか1つしか受けられないのが原則です一部重複適用できるものもあります)。

 

<まちがいの内容>

 今回のまちがいは、重複適用できないはずの居住用財産の3000万円控除と住宅ローン控除を両方受ける申告をしてしまい、税務署も気づかなかったという内容です。

先に売却して3000万円控除を受けているケースが多いと考えられるので、修正申告により10年分の住宅ローン控除がなくなってしまうことになり、影響は大きいです。

 

<留意点>

 今後自宅を売却して、次の家をローンで購入しようとお考えの場合は、どちらの規定を選ぶのが有利かを事前に検討しておく必要があります。

3000万円控除の効果は最大で3000万円×39.63%=約1188万円あり、住宅ローン控除の効果は最大で50万円×10年=500万円あります。
売る方に関しては、売却益がどれだけあるか、保有期間がどれぐらいかで効果は変わり、買う方に関しては住宅の購入価格やローン残高によっても変わるので一概には言えませんが、一般的には住宅ローン控除を選ぶ方が有利になるケースが多いと考えられます。

 なお3000万円控除を受けた年の前後2年が重複適用できないルールなので、3年弱賃貸に住んで期間を空ければ、住宅ローン控除は受けられることになります。

 

 次回はまちがいの3つ目を見ていきます。