住宅ローン減税のまちがい①

posted by 2018.12.12

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「住宅ローン減税でミス」
「14500人が控除し過ぎで是正が必要」

という驚きのニュースが昨日出ていました。
正式な案内は今後国税庁から送付されますが、「もしかして自分も…」と心配される方もおられるかも知れませんのでどういうミスなのか解説します。

 

 今回のまちがいは3パターン。

① 住宅取得資金贈与と住宅ローン控除を併用している場合

② 居住用財産売却時の3000万円控除と住宅ローン控除を両方使ってしまっている場合

③ 住宅取得資金贈与の所得要件をオーバーしている場合

 

 これらを2013年~2016年に適用している場合です。
2012年より前が含まれないのは時効が成立していて、直しようがないためです。

 それぞれのまちがいの内容と制度の概要を確認しておきます。

 

① 住宅取得資金贈与と住宅ローン控除を併用している場合

<まちがいの内容>

 両制度を併用する場合は優遇のし過ぎを防ぐために住宅ローン控除の額が制限されます。
通常は年末におけるローン残高に1%をかけて計算しますが、併用している場合には、建築費から贈与資金を引いた残りとローン残高の低い方に1%をかけていきます。

≪例≫
建築費2700万円、家具・引っ越し費300万円
住宅ローン年末残高2000万円、住宅取得資金贈与1000万円

≪正解≫
(建築費2700万円-贈与資金1000万円)✕1%=17万円

≪誤り≫
住宅ローン年末残高2000万円✕1%=20万円

 

 このような仕組みになっているのはローン控除も住宅資金贈与も建築費そのもの(建築に必要な諸費用はOK)を対象にしていて、家具購入費や引っ越し費用を対象にしていないためです。

 今回住宅ローン控除が厄介なのは初年度が確定申告で2年目以降が年末調整になっていることです。
最初の年にまちがいに気付かないと、会社の年末調整では住宅ローン控除の詳細をチェックすることがないため、2年目以降もまちがいが続くことになります。

 

 プロからすると基本的な内容ではあるのですが、一般の方にはちょっと難しいかも知れません。
今回は「まちがっていることに税務署が気付かずにそのまま行ってしまった」状態なので確かに還付はし過ぎている状態です。
そのため修正申告して差額を納めてもらうよう税務署から対象者に通知を送るそうです。
税務調査に伴う修正申告ではないため、加算税は免除されますが、延滞税はかかる可能性があります。
まちがいが税務署で相談したのに起こったケースや税理士に依頼して申告しているケースもあるでしょうから一悶着ありそうな気はします。

 

 長くなったので残り2つのまちがい事例と制度の概要は次回以降に続きます。