都市部でマンションの価格が高騰し、買うのが大変になってきていますが、売る方にとってはいいタイミングとも言えます。
売った場合の税金について相談を受けると、よくこんな話になります。
「買った時より売り値が安いから税金かからないですよね」
「税金は2割ぐらい?」
「買った時の契約書が見当たらないんですが…」
順番に間違いやすいポイントや計算方法について見ていきます。
1.買った時より安い?
5000万円で買ったマンションが4800万円で売れたので税金はかからない、とは限りません。
土地の売買であればその通りなんですが、マンションは土地(正確には敷地権)と建物がセットになっているので、建物部分は使った分、原価が目減りしていきます。
例えば、5000万円で買ったマンションの内訳が、建物3000万円、土地2000万円だったとします。
マンションの場合は階数が多く規模が大きければ、その分一人ひとりの土地の面積は小さくなるので建物の割合が高くなります。
★ 土地の取得費:2000万円で変わらず
★ 建物の取得費:減価償却費の分、減少
<償却率>
・マンション(鉄骨鉄筋コンクリート造)の耐用年数47年
↓
・住んでいた場合の耐用年数は1.5倍(事業用ほどハードに使わないので耐用年数が長い)
↓
・47年 × 1.5=70年(1年未満の端数切捨て) ∴償却率0.015
理屈はこうですが、申告の際に使う「譲渡所得の内訳書」には構造別の償却率の計算結果が書いてあります。
木造0.031、鉄骨鉄筋コンクリート造(RC)0.015、軽量鉄骨造(骨格材の肉厚3mm以下)0.036、軽量鉄骨造(骨格材の肉厚3mm以上4mm以下)0.025といった率となります。
骨格材の肉厚というのは、登記簿謄本にも売買契約書にも書いていませんので、建築当時の資料で調べるか、建築業者に確認するしかありません。
<償却費>
建物部分3000万円のRC造マンションに9年6か月住んだ場合の償却費は次のようになります。
・3000万円 × 0.9 × 0.031 × 10年=837万円
式の中の「×0.9」は固定で、残存価額が1割あるという理屈です。
事業用の減価償却費の計算では「×0.9」は無くなりましたが、非事業用の計算には残っています。
経過年数の計算では、6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。
<譲渡税の計算>
① 売却額:4800万円
② 取得費:土地2000万円+(建物3000万円-償却費837万円)=4163万円
③ 譲渡経費:237万円(仲介料、印紙代、司法書士費用等)
④ 譲渡所得:①-②-③=400万円
⑤ 所得税:④ × 15.315%=612,600円(翌年3/15)
住民税:④ × 5%=20万円(翌年6月末頃)
計算上は80万円ほどになりましたが、実際には軽減の規定により0円になります(申告は必要)。
軽減の規定や税率については次回へ続きます。


