亡くなる前にできること

posted by 2018.10.17

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 入院されている方の容体が急変した時などに「どうしたらいいですか!?」と電話をいただくことがあります。

 当然、治療や家族との時間が最優先ですが、お金や税金関連で何かできることはあるのでしょうか。

 

① 資金引き出し

亡くなった場合、銀行の預金口座が凍結される恐れがあるので、お葬式の費用や当面の生活費は引き出しておいた方がいいでしょう。
本人が銀行に行けない場合はATMで下ろすしかなく同じ口座からは1日50万円ずつしか引き出せません。
融通の効く銀行であれば担当者が病院等に来てくれて本人の意思確認が取れれば資金を引き出してくれることもあります。

なお引き出して現金で持つにしろ、家族や会社の口座に移すにしろ、いずれにしても相続財産には影響ありません
引き出したからと言って減るわけではなく、申告の際は「現金」や「仮払金」として財産に計上します。

 

② 贈与

相続人に対する贈与は、亡くなる以前3年以内の分は相続財産に加算する(足し戻す)ので相続税の節税効果はありません
相続人以外、例えばお嫁さん・お婿さん・孫などに対する贈与であれば加算する必要はないので贈与した分、相続財産は減少します。

相続人への贈与であっても加算の必要がない贈与もあります。
政策的な要請等から特例的に認められている贈与、例えば「配偶者控除(自宅の2000万円贈与)」「住宅取得資金等贈与」「教育資金贈与」「結婚子育て資金贈与」については3年以内であっても加算の必要はありません。

 

③ 非課税財産の購入

墓地や仏壇については非課税財産であるため、生前に購入してお金を払っていればその分財産を減らすことができます。

 

④ 小口預金の解約や出金

数千円しか残高がないとしても相続後に解約や引き出しをしようとすると相続人全員の実印や戸籍等が必要になるので煩雑です。
解約するのも大変なのでとりあえず全額引き出して残高を0円にするケースも多いです。

 

 なお①~④すべてに共通しますが、ご本人の意思がはっきりしているのが前提です。
あいまいな状態で出金や贈与をした場合は、後日遺産分割の話し合いをする際にトラブルに発展する可能性が高いです。
意思がはっきりしているのは当然として、出金や贈与についてご家族でよく話し合った上で実行することが望ましいと言えます。

 

 節税という観点で考えるとギリギリでできることはあまりありません。
家族での話し合いや専門家への相談など早めにしておくことをお薦めします。