続・外れ馬券訴訟

posted by 2018.10.12

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 何度も取り上げている外れ馬券訴訟ですが、まずはおさらいから。

 最初に納税者が裁判で勝ったあと、通達における雑所得の定義が変更されました。
次の要件を全て満たせば「営利を目的とする継続的行為」に該当して”雑所得”となります。

① 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用。

② 長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入。

③ 多額の利益を恒常的に上げている。

 その後何件か裁判があり、昨年末の裁判ではソフトウェアを使っていなくても雑所得と認められた例がでてきました。

 

 そこで通達が再度変更されています。

 

<所基通34-1 一時所得の例示>
 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。

(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)

「営利を目的とする継続的行為」とは

 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。

 

 かなり読みにくいので内容を分解します。

<ツール>
・馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用
  または
的中率と配当率を組み合わせた購入パターンに従う

<馬券の買い方>
・年間全レースを買うなど大量に馬券を買い続ける

<勝ち負け>
・多額の利益を上げ、回収率が100%を超える

<結論>
・営利を目的とする継続的行為として雑所得に該当(外れ馬券も経費にできる)

 元の通達に比べて数字が入るなど、より判定はしやすくなったと言えます。
税務署としては裁判を多く起こされて大変なので、なるべく要件を具体的にしたものと考えられます。

 果たしてこれに当てはまる人が日本に何人いるのかという気もしますが、ここまでの手間と規模と結果を要件とするなら別の疑問が出てきます。

 「雑所得」は他の所得に当てはまらない副業的なものが該当しますが、今回の通達のような規模で競馬に取り組んでいれば、もはや趣味や副業ではなく”仕事”、つまり事業所得に該当するのではないか、という疑問です。

 そう考えて裁判を起こした人がいるのでその内容は次回へ続きます。