税務調査実況中継 相続税編④

posted by 2018.09.21

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 前回からの続きで税務調査実況中継 相続税編の現場後半を見ていきます。
亡くなった方と相続人の方についてのヒアリングが終わり、次は相続財産がテーマになります。

 

11:00
・相続財産についての確認
・同族会社があれば会社とのやり取りや株主構成について確認

<解説>
 同族会社に関しては個人と会社のお金がどんぶり勘定になりがちなので確認があります。具体的には会社から個人へお金を返済したことになっているものが個人の口座で受け入れがあるかといったことを確認します。

 株の贈与をしている場合には申告の有無、株価、手続き書類についても確認があります。

 

・お金の流れの解明

<解説>
 事前に金額の大きい振込や出金の目星はつけているのでその内容を確認します。
相続人への贈与に該当するものはないか、申告外の資産(株式、絵画、宝飾品、保険等)に形を変えていないかなどを確認します。

 葬式費用や納税資金など亡くなった後に出金するものについてもどう払ったか確認します。葬式費用が通帳から出ていなければ手許に現金があったと推定されますし、納税資金については子どもの分を払ってあげていれば贈与ということになります。

 

11:30
・通帳と印鑑の確認
・印鑑はハンコを押して印影を持ち帰り(任意)
・保管場所についてきて引き出しの中身を物色することもあり(任意)

<解説>
 通帳を一式出してもらって家にあってはおかしい通帳(別居している子どもや孫のもの)を保管していないかを確認します。もしあると名義預金(名義は子どもだが実質は亡くなった方の預金)を指摘される可能性があります。
印鑑についても同様で子どもや孫のものがないかを確認されます。

 印鑑を実際に押してみて印影を取るのはどの銀行の誰の口座のハンコかあとで照合するためです。
印鑑は何もつけずに1回、朱肉つけてから1、2回押します。
朱肉つけてないのに押せたら最近使っているということが分かります。

 通帳や印鑑を出してもらう際には調査官が保管場所までついてくることがあります。
だいたいはタンスの引き出しか金庫に入れてると思いますが、引き出しの中も「見てもいいですか」と確認を取った上で財産の手がかりになるものを物色します。
「見てもいいですか」と聞かれると、変に疑われたくないし断りにくいので、引き出しの中も見られると思って整理しておきましょう。

 通帳と一緒にメモを入れている場合通帳への書き込みについては要注意です。
メモや書き込みには申告書からは読み取れない個別事情が書かれているので調査官にとっては重要資料です。

 

12:30
・調査終了
・追加の依頼書類やその時点で気になる点を説明

<解説>
 相続税の調査は通常は半日ぐらいで終わります。
法人は短くても1~2日はありますが相続税は半日、長くても15時ぐらいには終わります。
と言うのも相続税は銀行まわりや様々な収集資料の分析など現場以外でやることが多く、重要であるためです。
本人が亡くなっているので調査時点で現場で分かる情報も少ないということもあります。

 

 現場で質問されることや確認される内容はある程度想定できるので、しっかり準備して変に疑念を持たれることのないようにしましょう。