賃上げ税制における教育訓練費とは

posted by 2018.08.23

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 昨日の続きで賃上げ税制における教育訓練費について見ていきます。
平均給与が前期比で2.5%増え、かつ教育訓練費が前期比10%増えれば税額控除が10%上乗せされて25%になります。

 

<教育訓練の対象者>

〇 社員(賃金台帳に記載された国内雇用者
〇 パート(同)
✕ 役員
✕ 個人事業主
✕ 使用人兼務役員
✕ 内定者

 

<教育訓練費の範囲>

≪形態≫
〇 法人等が自ら実施
〇 他の者に委託
〇 外部研修に参加

≪具体的内容≫
〇 外部講師への謝金(交通費、宿泊費、食費含む)
グループ企業への委託費用
〇 継続的契約による講義指導
〇 施設、備品の使用料やレンタル料
〇 コンテンツ(DVD、eラーニング等)の利用料
〇 通信教育費用
〇 資格の受験手数料(教育訓練の一環の場合)
〇 国内外の大学院費用(授業料、教科書代等)
✕ 教育訓練中の従業員の人件費や報奨金
✕ 教育訓練に参加するための旅費、宿泊費、食費
✕ 自社役員や従業員に払う講師代
✕ 自己所有施設の光熱費、管理費
✕ 研修用施設の取得費、減価償却費
✕ 教材の購入費、製作費、ソフトウェア開発費

 

<明細書の作成>
 次の項目を記載した書類を作成
・時 期(年月まででOK、日は任意)
・内 容(テーマ及び期間)
・受講者
・支払証明(領収書等)
・支払額

 

<前期との比較方法>

 範囲や金額は上記の通りですが、会社が「教育費」や「研修費」として従来処理してきた科目と一致するとは限りません。
そこで比較対象となる前期データについては会社が処理している金額も含めてもOKという特例が設けられています(改正初年度のみ)
ただし改正後の金額より範囲が狭いのは認められません。
前期より増えたかどうかを比較するので、前期を広めに解釈しても会社が不利になるだけなのでOKという理屈です。

 

 対象者に役員と内定者が含まれないこと、内容に教材購入費や交通費が含まれないのは痛いですが、グループ会社への支払いや大学院費用もOKなど比較的範囲は広いと言えます。
賃上げ税制の適用を踏まえてあとで集計しやすいように、会計処理を変更する、検索できるよう何か目印をつけておくといいかも知れません。

 

 次回は経営力向上の要件を取り上げます。