保険の支払調書の改正

posted by 2018.03.6

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 生命保険の解約や満期があった場合には確定申告が必要ですが、うっかり申告を忘れることがあります。
その場合には後日税務署から電話がかかってきますが、これは保険会社から税務署に支払調書が提出されているためです。

 この支払調書ですが解約や満期だけでなく、平成30年1月から契約者の変更についても提出されることになりました。

 

<生命保険金等の一時金の支払調書>(従来分)

・内容:死亡保険金、満期保険金、解約返戻金

・金額:1回の支払金額が100万円超(儲けではなく支払金額)

 

<生命保険契約等の年金の支払調書>(従来分)

・内容:生命保険会社等の年金

・金額:年金で年20万円超

 

 これらはあくまで支払った金額をベースにしているため、契約者の変更があった場合には実態が把握できず課税漏れが発生していました。

 

例1(子どもを被保険者として父親が契約者として保険料を支払っていた場合)

父親の相続により子どもがこの契約を引き継いだ場合には解約返戻金相当額が相続財産となります。
しかし父親が死亡した時点では保険金が出ないので支払調書も提出されず、相続税の課税もれが発生していました。

例2(保険契約者を子どもに変更した保険が満期となった場合)

満期になった保険金からはそれまでに支払った保険料を控除しますが、控除できるのは自分で払った金額に限られます
契約者変更前に父親が払っていた保険料も一時所得の計算上控除していても把握ができず、贈与税の課税もれが発生していました。

 

 そこで契約者の変更があった場合にも支払調書を提出することとなりました。

 

<保険契約者等の異動に関する調書>(新規)

・内容:契約者に死亡により契約者変更が行われた場合に提出。解約返金相当額や払込保険料等を記載。

・金額:解約返戻金相当額が100万円以下の場合を除く

 

<生命保険金等の一時金の支払調書>(従来分に情報追加)

・内容:直前の保険契約者、現契約者が払い込んだ保険料の額、契約者変更の回数を記載する欄を追加。

 

 今回の改正は平成30年1月以降ですが、今年の確定申告に関しても保険の満期や年金の受け取りがなかったか改めて確認してみて下さい。
なお、満期保険金や解約返戻金に関しては儲けが50万円なければ所得も出ないので確定申告の必要はありません。