ゴルフ会員権の税務 ② 破綻と相続

posted by 2017.11.15

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 昨日の続きでゴルフ会員権の税務について見ていきます。
一時期ゴルフ場の破綻が相次ぎましたが、そういった場合の処理と相続があった場合の評価を取り上げます。

 

1.破綻した場合(法人所有の前提)

①  預託金制

<ステップ1>

破綻してもプレーができる間は「施設利用権」に変化がないため、経費計上(評価損、貸倒損失、貸倒引当金繰入)はできません。

<ステップ2>

プレーができなくなった場合(退会や破産の開始決定など)には「預託金返還請求権」という債権に変わるため、貸倒引当金の個別引当(50%)の対象となります。

<ステップ3>

さらに預託金の一部切捨てなど返還されないことが確定した金額については貸倒損失を計上することができます。

 なお会計上は保守的に考えるため、時価が著しく低下した時点で評価損を計上したり、貸倒引当金を計上する必要がありますが、税務上は上記のステップに応じて判断します。

 

②  株主会員制

通常の非上場有価証券と同じような扱いとなります。
破産や民事再生の手続き開始決定などにより、価格が著しく低下した場合には評価損の計上が認められます。
評価損をいくら計上できるかは事例によりますが、貸倒引当金の個別引当と同程度の50%は計上できるケースが多いでしょう。

 預託金制、株主会員制とも法人所有を前提として書いていますが、個人の場合はこれらの取扱いは特にありません。
購入自体が家事費(趣味の延長・贅沢品)に該当するため、経費になる部分はなく、雑損控除も認められていません。

 

2.相続があった場合の評価

 取引相場の有無に応じて評価が変わります。
取引相場については会員権売買業者に評価書を出してもらうか、業者が発行している冊子等により知ることができます

 

①  取引相場あり(大半はこれ)

時価×70%(相場変動を考慮して30%低めに見ます)

・取引価格に含まれない預託金等が別である場合は返還される金額を加算します。一定期間経過後に返還される預託金等については複利原価で割り戻して加算します。

②  取引相場なし

株主会員制の場合は「取引相場のない株式」の評価方法により評価します。

預託金制の場合は返還される金額(一定期間後の返還であれば複利原価で割り戻した金額)で評価します。

・株主かつ預託金が必要なものは分離して上記の方法で評価します。

③  社団法人制の場合

 名門コースに見られる社団法人制の場合、譲渡もできず、一代限りなので相続ができません。
亡くなった時点で権利は消滅するので相続税の対象にはなりません。

 

 ゴルフ会員権は入会の形態や規則により破綻時や相続時の取扱いも大きく変わってくるので慎重に確認するようにしましょう。