上半期、世間を騒がせたニュースの1つに金の密輸問題があります。
この事件には消費税の仕組みが関わっています。
金の売買も他の商品と同じように消費税がかかります。
輸入する場合には税関で消費税を申告納付します。
ところが運び屋に依頼して申告せずに税関をくぐり抜けることで仕入れの段階で消費税を払っていません。
例えば1キロの金の延べ棒。
サイズが縦113×横52×厚み10mmなのでちょうと折り畳みのガラケーぐらいの大きさです。
今の買取価格が税込み1g4800円前後なので延べ棒1個で480万円。
仕入価格が同じだとして1個当たり消費税分約35万円が儲かることになります。
ただし売った時の消費税を申告すれば儲けにはなりません。
売上消費税35万円-仕入消費税0円=国へ35万円納付
密輸するような人がマジメに申告するとは思えないので当然払っていないのでしょう。
なお税務署が金の取引を把握する方法として支払調書の制度があります。
200万円以上の取引をした場合には取引業者は住所、氏名、マイナンバー、数量や支払金額などを記載して税務署に提出します。
これもまともな業者は提出していますが怪しげな業者は恐らく提出していないのでしょう。
一般の事業者は必死の思いで消費税を払ってるだけに税関、税務署が連携して何とか密輸による消費税逃れを取り締まってもらいたいところです。