会社標本調査の最終回は売上や経費など決算書の部分を見ていきます。
<営業収入と所得>
・売上にあたる営業収入は前年比で3%伸びており、3年連続の増加です。
・利益計上法人に絞ると売上で2.9%、所得で8.3%前年より伸びています。
所得は税引前利益に近い数字で売上に対する比率では4.6%になります。
・つまり黒字の会社は売上を3%伸ばし、最終利益率では5%近くを計上していることになります。
<交際費>
・全体で3兆2505億円の支出があり、前年比で5.4%増えています。
・売上10万円あたり211円が平均なので、年収1億円だと約21万円になります。
少ないような気もしますが売上の巨大な企業を含むため平均は少なくなります。
・交際費が増えているのは景気回復の要因もありますが、税制改正の影響も大きいと考えられます。
平成25年改正で中小法人の交際費枠が600万円から800万円に拡大されました。
さらに改正前は支出額の10%は経費にならなかったので実質540万円が交際費の限度になっていましたが改正で10%の課税もなくなり、800万円までは全額経費にできることとなりました。
・また資本金1億円超の大企業では交際費は全く経費になりませんでしたが、平成26年度改正で飲食費であれば50%(上限800万円)までは経費にできることとなりました。
・2つの交際費の緩和により、経理の財布のヒモが少し緩くなったと考えられます。
<寄附金>
・全体で7103億円の支出があり、毎年増加傾向にあります。
・企業版ふるさと納税の導入もあり、今後も増えていきそうです。
会社標本調査は日本全体の企業活動がどういう状態かというマクロ的な視点と税制改正により企業がどう行動を変えるかというミクロ的な視点もあり、税制を考える上でも興味深いデータとなっています。